珍ゲーム『いっき』
「クソゲー」と呼ばれるゲームは世に数あれど、この『いっき』もよくその一つに挙げられる作品である。
ファミコン黎明期の時代、乱発された玉石混交の中で生まれた迷作といえる。
どちらかというと「クソゲー」より「バカゲー」に分類されることもある。
しかし発売から30年以上経ってもその存在感があまり色あせないところが良くも悪くもこの「いっき」の不思議な魅力なのかもしれません。
一応ストーリーみたいなものもあってアーケード版ではそれが導入されていたのを見たことがあります。
要は年貢を納めろという代官に反抗して一揆を起こす百姓という構図なんですが、まあいろいろとおかしい。
ファミコンなので当然プレイヤーは1Pか2P。つまりソロかデュオなので本来の「一揆(一つの集団)」にはならずただの暴走した百姓にしかならない。
しかもこの百姓(権べ)&(田吾)やってることがアナーキシズムに酔ってる過激な反社会派にしか見えない。
そもそも集団で生活してる村でこんな暴走したやつが出てきたら当然後々村全体にその責を負わされるのは自明の理。こいつのせいで村長もしくは親族は間違いなく処刑されるし今後の年貢の取り立てやいろんな規律も厳しくなるだろう。
仮に成功して敵を討っても当然その藩の役人に処罰されるし迷惑以外の何物でもない。
しかも武器が鎌でそこら中に何本も投げまくるから後に畑作業をする人間が単純に危ないわ一揆の最中に何故か敵の腰元のブスとイチャイチャするわで真面目にやれといいたくなる。
年貢の8両が払えない、もしくは代わりに米で払えと言われて払えないと切れて一揆を起こしたはずなのにステージクリアの条件が道に落ちてる小判8両を拾うことだったり、(いやもうそれで問題解決じゃん!?)挙げ句ボーナスステージでおむすび空中口キャッチみたいなミニゲームやったりとやりたい放題で一揆の根幹がブレブレなのに細かいことは気にするな。と言わんばかりの問答無用さ。
「逆にこのノリに付いてこれねぇやつはダサい」と言わんばかりのセンス。
敵も何故か大量の忍者だったり悪霊だったりいい意味でインパクト重視で「ツッコミ無粋」もしくは天才バカボンのように「これでいいのだ」という「いっき」の世界観を構築している。
ただこれだけは知りたい。
「なんで百姓一揆をゲームにしようとしたのか」
でも多分深い意味はないと思われる。それが「いっき」というゲーム。